暗号通貨やNFTで詐欺にあわないためにも、Etherscan(イーサスキャン)を見るといいよ、とSNSなどで見かけます。
Etherscanとは、ざっくりいうとイーサリアム関連の取引履歴が見られるサイトです。
使いこなせば便利ではありますが、英数字の文字列が並んでいて、いかんせん初心者にはハードル高め。。
とうことで、今日は実際にEtherscanを体験しながら、使い方をマスターしちゃいましょう!
Etherscan(イーサスキャン)でできること
・イーサリアムやトークンに関する情報を検索できる
・ウォレットやコントラクトのアドレスの詳細を調べることができる
・送金、出金、それにかかったガス代などの取引履歴が分かる
・NFTの取引状況が分かる
・トランザクションエラーや理由が分かる
Etherscan(イーサスキャン)の注意事項
★アドレスを公開すれば、他の人にもすべての情報を見られてしまう
★個人が特定されたりハッキングされることはない
見てるだけじゃ使えるようにならないので、早速Etherscanを立ち上げてみよう!
Etherscanでウォレットの中身を確認する
まずはサイトにアクセス:
Etherscan
今回は、大口投資家”Whales(ホエール)”のウォレットを見ていきたいと思います。
現時点でETH保有価値が約61億ドル(約7000億円!)というItachiのウォレットアドレスをEtherscanにコピペするか、リンクで飛んでみましょう。
アドレス:0x73bceb1cd57c711feac4224d062b0f6ff338501e
自分のウォレットを確認したい場合は、MetaMaskのトップに記載されているアドレスをコピーしましょう。
Etherscanにアドレスを打ち込むと、以下のような画面が表示されます
最初のページ上部のOverviewではウォレット内の総資産額がざっくり確認できます。
Balance:ウォレットに保有しているETH
Ether Value:ETHをドル換算したときの価値
Token:ERC-20トークンの残高とその価格
さらに、Tokenの横にあるフォルダのようなマークをクリックしてみましょう。
ここでTokenの内訳(暗号通貨やNFT)などを確認することができます。
*ちなみに、ウォレットの中身を調べるだけなら、Etherscanより、DeBankやZapperの方が見やすくておすすめ。
ということでここはサラっと次にいきましょう~。
Transaction=取引履歴 一覧ページ
最初のページに戻って、ページ下部を見ていきましょう。
Transaction, ERC-20 Token Txns…などタブが並んでいます。
よく使うのは以下の4つ。
Transactions:ウォレットの取引履歴を全期間参照することができます。※デフォルトでリスト表示
Erc20 Token Txns:ETH以外のトークン(暗号通貨等)の取引
Erc721 Token Txns:NFTの取引履歴
Erc1155 Token Txns:NFTの取引履歴
ERC20とか721とか1155は、ざっくりいうとイーサリアムでトークンを発行するための規格ですが、ここではざっくり、暗号通貨系とNFT系ということで見ていけばOKです。
デフォルトで表示されているのは、Transactionsタブのリストです。
ここではイーサリアム関連の取引履歴が一覧で表示されます。
Tx Hash :トランザクション固有のID
Method :コントラクトの種類
Block :トランザクションが含まれるブロック
Age :トランザクションが発生した日時 (どのくらい前に発生したか)
From :送信元アドレス (だれから)
To :送信先アドレス (だれに)
Value: 送金したイーサリアムの量 (いくら?)
Txn Fee :このトランザクションの手数料
どのくらい前(Age)に、どこから(From)どこに(To)いくら(Value)入金・出金(IN/OUT)されたか、その際の手数料はいくら(Txn Fee)だったかが確認できます。
例えば一番上の行を見てみると、7時間45分前に、4,504ETH入金されていることがわかります。
ほえ~ 日本円で15億円くらい!?
ちなみに、このINは直接送金された場合のみが記録されます。
オークション(WETH)などの場合はここには記載されません。
Transactions=イーサリアムの動きと覚えておきましょう。
なお、Transactionsは直近の25件しか表記されませんが、件数(下の場合だと451)をクリックすると履歴が全部閲覧できます。
また、左側の●が3つ並んだアイコンをクリックすると、取引をソートしたり並べ替えたりもできます。
ページの一番下の箇所には、1ページあたりの表示件数や、ページネーションがあります。
また、全データをCSVにエクスポートすることもできます。
Transaction Detail=取引履歴詳細
では、次にTransactionsの詳細ページを見ていきましょう。
ここからは様々なケースを見ていくのでItachi以外のウォレットも見ていきます。
詳細ページでは、トランザクション(取引)が成功したのか、失敗したのか、その理由や取引の詳細を確認することができます。
取引成功(Success)の場合
大事なのは赤い部分。
どこからどこに何イーサの取引があったのか、それが成功したかが分かります。
Transaction Hash :トランザクション固有のID
Status: トランザクションの状況 ※Success/Failで表示
Block :トランザクションが含まれているブロック
Time Stamp :トランザクションが発生した日時
From :送信元アドレス
To :送信先アドレス
Value :送金したイーサリアムの量
Transaction Fee :このトランザクションの手数料(ガス代)
Gas Price: 取引が行われた時点のガス価格
Ether Price: 取引が行われた際ののETHの価値
取引失敗(Fail)の場合
取引失敗の場合は、Statusに「Fail」と表示されます。
また、Toのところにその理由が記載されます。
上の画像の「Reverted」は、オークション等で同じアセットを別のユーザーが先に購入すると表示されます。ETHは戻ってきますが手数料は返却されません。
この場合1.3ETHは戻ってくるけど、Transaction Feeは戻ってこないということになります。
他にも、Failのケースとして、ガス代(手数料)不足があげられます。
Toのところに、「Out of gas」と書かれていますね。
ガス代については、書き出すと長くなるのでまた別の機会に説明したいと思いますが、ガスの上限が低いと取引が失敗することがあります。
この場合も手数料は返却されませんので、ガス欠にならなように適切なガス代を設定しましょう。
さて、Etherscanを見ているとお気づきの方もいらっしゃると思いますが、Valueが0ETHということが多々あります。
え?なんで0なの?
取引履歴はイーサリアムの動きを見るものでしたね。
たとえば、1ETHで1ラビットトークンを購入したとします。
この時アカウントは、イーサリアムを保有しているのであって、ラビットトークンを保有しているわけではありません。
ラビットトークンをYさんに送ろうと思った場合、コントラクトにトランザクションを送信して、残高の一部を他の場所に割り当てるように依頼します。
この時も、イーサリアムを送るわけではありません。
データを送信する依頼をするだけなので、取引自体は0ETHで、そのデータ送信のガス代としていくらかのイーサリアムを支払うという形になります。
取引履歴はあくまでイーサリアムの動きなので、トークンが移動したときにかかるガス代だけが記録されるというわけです。
たとえば、Tether(USDT)の場合は、このように表記されます。
なんかややこしいけど、イーサ送ってないぜ!ってことね。
トークンの履歴を見る
では、上の例のようなトークンに関する履歴はどこで確認するのでしたでしょうか?
Erc20 Token Txns タブでしたね。
こちらを確認すると取引額(Value)と、取引したトークンが一覧で表示されています。
先ほどの例でいうと、 3,000,000 Tether(USDT)が移動したことになります。
NFTの取引履歴を見る
最後にNFTの取引履歴を見ていきましょう。
NFTの履歴は、Erc721 Token Txns タブまたは Erc1155 Token Txns タブで確認できます。
Transactionsと違うのは、Token IDとTokenというのがあるところです。
Token:NFTのコレクション
Token ID:コレクションのどの作品か
がわかります。
詳細ページを見てみましょう。
ここでは赤いところに注目してほしいです。
Openseaで、 Kitty Crypto Gang というNFTの 2177を0.27ETHで購入しましたよ、ということになります。
※「Kitty Crypto…」の箇所をクリックするとTokenとして、コレクションの正式名称が表示されます。
下のタブのInventoryで、NFT作品が確認できることもあるのですが、表示できないことも多いです
ということで、Openseaで実際のコレクションを確認してみましょう。
Kitty Crypto Gang の2177:https://opensea.io/assets/0xa302f0d51a365b18e86c291056dc265a73f19419/2177
取引履歴を見ると0.27ETHで購入されていますね。
では、Etherscanに戻って、TOのところにあるコレ↓なんでしょう。
TRANSFER 0.03375 Ether From OpenSea To OpenSea: Wallet
TRANSFER 0.23625 Ether From OpenSea To 0xb497d70660f5e24f59942bd7552ea2ed470e71f5
0.27ETHのうち、0.03375ETHは、Openseaの手数料と、クリエイターへの手数料となります。
Openseaの手数料は2.5%
クリエイターのロイヤリティ 10%
合計で12.5%がこの0.03375ETHです。
残りの87.5%の0.23625ETHが今回販売した(転売した)人に払われることになります。
このようにNFTでは、転売時にクリエイターに手数料が支払われるようにあらかじめ設定できます。
スマートコントラクトにより、特に監視しなくてもクリエイターには永続的にチャリンチャリンと収益が還元される仕組みになっているんですね。
Internal Transaction(インターナルトランザクション)
いよいよ基礎知識編のラスト、インターナルトランザクション。
直訳すると内部取引?なんか悪そうな響き。
いやいや、そんな悪い取引ではないですので安心してください。
そもそもイーサリアムには2つのアカウントがあります。
・EOA(Externally Owned Account) →我々ユーザーが使っているアカウント(コードなし)
・コントラクトアカウント(Contract account)→機械上で処理されるコントラクト(コードあり)
ざっくりいうとEOAは人間側。
・EOA→EOAにイーサを送ったりできる(単純な送金はコレ。送ったイーサがValueとして表示される)
・EOA→コントラクトアカウントに指定したコードを実行するようにトランザクションを作ることができる。
コントラクトアカウントはマシン側。
・コントラクトアカウント単体では動けず、EOAからの指示待ち
・EOAから指示があれば、コントラクトアカウント→コントラクトアカウントへのトランザクションは作れる。
これが単なる送金だけでなくスマートコントラクトを可能にしています。
つまり、スマートコントラクトからETHやトークンが送られてくる場合などはインターナルトランザクションに履歴が残るということですね。
参考:トランザクションレベルで理解する。イーサリアムの具体的な仕組みを解説
実際にインターナルトランザクションを見てみましょう。
このケースでは、Openseaから送られたNFTの対価が記載されています。
NFTを出品した際のトランザクションのスマートコントラクトには、「売れた時は、代金を送信者に送ってください」とコードに書かれているので、それがマシン上で実行され、インターナルトランザクションとして記録されるのですね。
インターナルトランザクション詳細ページ
さっきNFTのところで説明したのとは逆に、NFTが売れた時のトランザクションですね。
HAPE: EXODUS のトークンID 4869の作品が、売れて、alicicek.ethにトークンが移動しました。
alicicek.ethは0.06ETH 払いました。
そのうち Openseaの手数料 0.0045ETH、このユーザーには0.0555 イーサ 入金された、ということになります。
ここまで長かったですなぁ。そもそもZipperとかでも同じ情報みれるじゃん?
実際に使う場合は、最初に話した、DeBankやZipperなんかが見やすいといえば見やすいのですが、細かいところまでチェックするいはEtherscanが使えた方がいいのですよ。
今回は初心者が??となりそうな箇所を説明したので、かなり長くなってしまいましたので、今回の基礎知識編はここまでとしたいと思います。